社会契約
〜チームの自律性・自主性を高める〜
社会契約とは
社会契約はシンプルですが、チームを自己組織化するために効果の高い手法です。
社会契約はチームが自分たちのために作成し、
チームの振る舞いと期待を体系化します。
また、そのチームが望まれている行動を周知し、マネージャやステークホルダーと共有できます。
この方法を効果的に使用するために、下記が必要となってきます。
- 社会契約はいつでもだれでも見れる
- 契約違反はダメ
- チーム全員が社会契約に同意している
- 社会契約を頻繁に見直し、必要に応じて更新する
なぜ社会契約を行うのか
- チームの振る舞いと期待を明確に決定するための迅速な手段
- 自律性と自主性を促進する
- 契約により、チームがどのように動いているかを常に認識できる
- チームメンバー間の会話と共感とコンテキストを確立する
チーム内の同意のないまま、何かをしようとしても
本当は賛成していなかったり
何らかの確執を生んでしまいます。
きちんとチーム内で合意をとった内容であれば、
自分も合意しているはずなので問題ないはずです。
合意できないのであれば、
社会契約の作成・更新時に議論することで
納得することができます。
何も話し合いのないまま、決定を押し付けるのは
たとえそれが良いことであっても
チームメンバーの自主性やモチベーションを大きく低下させる原因になります。
どうやっておこなうのか
必要なもの
- ペン
- 付箋
- 大きなポスター用紙
- ポスター用紙を貼る壁のスペース
やり方
大きなポスター用紙を壁に貼り、「社会契約」というラベルを付けます。
チームに次のことを説明します。
- チームに持たせたい文化を定義する
- いくつかの一般的なガイドラインを設定する
- これらのガイドラインに互いに責任を負う
チームの望ましい働き方について自由な質問をする。
チームが答えに同意するならば、付箋にその決定した内容を書き、
ポスター用紙に貼ります。
合意がない場合は、付箋を捨てるか、後で議論するためにパーキングロット(横に置いておく場所。ポスター用紙に「パーキングロット」と書いて用意しておく)に入れてください。
最後に、チーム全員が社会契約に署名し、目に見える場所に保管します。
これは生きた文書であるため、チームはいつでもそれを再検討し、合意した上で変更し、元に戻すこともできます。
チームが前進するにつれて、意見の不一致がある場合は、社会契約を見直すように促します。
質問と回答の例
積極性、自律性、および尊重を奨励する契約にチームを導くようにしましょう。
いきなり、作るのは難しいかもしれませんので、いくつか例をあげます。
また、アジャイル宣言の背後にある原則を参考にするのも良いかもしれません。
質問例
- どのようなチームカルチャーを構築したいですか?
- コアタイムはどうしたいですか?
- ペアプログラミングについてどう思いますか? モブプログラミングをやりますか?
- 会議でデバイスをどのように扱うべきですか?
- あなたが何か他のものに取り組む必要があるなら、挑戦しますか?
- 創造的な混乱を受け入れますか?
解答例
- 楽しい雰囲気のチームにしたい
- 18時に学校のチャイムがなったら仕事を止めて帰る
- 学習するときはモブプログラミング、開発するときはペアプログラミングをする
- 会議を行う際はデバイスの使用は禁止
- 挑戦は歓迎する
- 新しいことに挑戦したことでの混乱は仕方がない
注意点
自由のない、昔ながらの統制行動を奨励するような社会契約は避けるようにしましょう。 下記は例です。
- コアタイムは午前9時から午後7時です。より多くの仕事をこなすために、残業をしなさい。
- 一度にたくさんのプロジェクトをやりなさい。
- トラブルが起きたら誰が悪いか追求しなさい。
- プロダクション環境にデプロイするのが怖い。
よくある質問
あまり意見がでないのですが、どうすればいいですか?
全員参加が原則です。
全員が意見を合わせて、議論して初めて全員が納得できる社会契約ができあがります。
もし、意見が出づらい場合は下記の方法を試してみてください。
- 全員に同じ色の付箋とペンを配ります。
- 5分間で黙って意見を書いてもらいます (何でもいいのでとにかくたくさん書く)
- 順番に壁に張りつつ説明してもらいます (全部ではなく、自分が有用と思うものを1つ以上)
この方法は、必ず全員が意見を話すことになるので、
会話だとうまく伝えられないだとか
考えづらいなどの場合にとても有効です。
同じ色の付箋なのは意見は平等に取り扱うためです。
偉いからとか詳しいからという風に人に依存してしまうと
意見の内容に関係のない部分で影響力が出てしまうので
なるべく気にしないようにできる工夫です。
参考資料
さいごに
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